docomoより、かねて噂になっていた iモードブラウザ2.0 の仕様が発表されました。
iPhone や BlackBerry 、そして Android 携帯といったスマートフォン群の躍進を、iモードも黙って見ているわけはなかった。スマートフォン・ブラウザに対抗すべく、かゆいところに手が届く機能性を備えた、エポック・メイキングなアップデート。コンテンツ・プロバイダーへの衝撃は大きいですね。
作ろうiモード:iモードブラウザ2.0新機能一覧
新機能の詳細は、上記のドコモ公式サイトをご覧いただくとして、いくつか重要な機能をピックアップしていきます。
FLVとWMA 動画対応
Flash Video と Windows Media ファイルに対応。FLVのプログレッシブダウンロード、WMのストリーミング配信で最大10MBまで再生可能。これまで工夫をこらした配信で盛り上がってきた携帯動画の世界も、これで一気に敷居が低くなって裾野が広がりそう。
Ajax 対応
JavaScript に対応というのが機能の本質。しかし、XMLHttpRequest も使用可能で、広がりは無限大の機能拡張のため、あえて「Ajax 対応」と銘打ちました。
実際にどのくらい従来の Javascript と互換性があるかまでは未検証ですが、ECMA-262 3rd に準拠しているなら、prototype や jquery といったライブラリも、そのまま使えるかもしれません。(ブラウザキャッシュが500KBまでなので、必要部分のみに圧縮する必要はありそう)
Cookie 対応
これが一番びっくりした新機能。
RFC 2965 準拠の最小実装で、PCブラウザよりも制限は厳しめですが、セッション管理などを行うなら十分な仕様を満たしています。そう、ついにクッキーを使ったセッション管理ができる!
アクセス解析、視聴率測定、行動ターゲティングなど、幅広い展開が期待できるところ。
今回の対応で、ようやくdocomoでもリファラーの取得ができるようになったことを踏まえ、このあたりは非常に活発化するんじゃないでしょうか。正確な解析ができるようになって ROI を明確にできるようになれば、不況で伸び悩んでいると言われるアフィリエイト、純広枠への出稿の増加や、SEO / SEM への投資を誘導できるかも。モバイル市場拡大につながる可能性から、この cookie 対応には驚かせられました。エポック・メイキング。
さて、今後おそらく他社のブラウザもこの機能性に追従し、上回ってくることを考えれば、PCウェブと携帯ウェブの垣根がほとんど無くなる瞬間というのも、そう遠い未来の話ではなくなるのかもしれないなーと感じています。もちろんその間には、先に挙げたスマートフォンとの競争もあるし、コンテンツプロバイダーの盛衰もあって、にわかには想像しがたい話ですが、「iモード、次の10年」という括りでは夢物語ではないはず。そうなったとき、果たして強いのはPCポータル群か、モバイルコンテンツプロバイダーか、それとも。
一方、現在に目を移せば、これだけの機能追加が、果たして市場にスムーズに浸透するのかという懸念がありますね。iモードブラウザ1.0 をバージョンアップできるわけではない以上、2.0 対応にどれだけのコストを割いていくかの判断を、コンテンツプロバイダーは迫られるわけで。
そんな折に、こんなニュース。
「docomo PRIME series N-06A」の一時販売停止及び「docomo STYLE series N-08A」の販売延期のお知らせ
ブラウザに脆弱性があったということらしいですが、Javascript と cookie に対応したら、そういったセキュリティ面での問題がナーバスでしょう。セキュリティ対応という、コンテンツプロバイダーに求められる技術レベルが高くなれば、それも 2.0 対応コンテンツ普及への足かせとなりうるわけです。この販売停止騒動で、衝撃をくらったコンテンツプロバイダーも多かったんじゃないでしょうか?
だらだら書いてきましたが、Android 携帯をふくめ、今年夏以降のモバイル市場の変化には敏感でありたいですね。面白くなりそうです。(その前に、某バンクが夏を超えられるかという噂も聞きますが...)
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