巨匠テオ・アンゲロプロス監督の最新作。ロング・ショットでロング・テイクで幻想的な映像美は健在。どのシーンを切り取ってもポストカードにして部屋に飾りたい、そんな美しさ。こんな映画を撮れるのはアンゲロプロスしかいない。そして、エレニ・カラインドルーの音楽もやっぱり素敵。
ストーリーは例によって難しく、ギリシャの現代史をかじってないと深い部分が分からなかったり。それでいて3時間となると一般ウケしないんだろうけど、シアターは耽美派で満席。やっぱアンゲロプロスの世界観は、そうして支持されるべきだよなーとか、うんうん頷いてしまった。
もしこれから「エレニの旅」を観ようとする人がいるなら、アンゲロプロスの過去の作品をもう一度観てから行った方が良いかも。なんつーか、いきなり観ても頭が付いていかんと思うので。
前作「永遠と一日」から6年。このときは仙台のシネアートで観たんだけど、なんと観客が自分1人!俗に言うところのマイシアターですよ。それはそれで最高なんだけど、アンゲロプロスの世界観を共有できる人がいないってのが切ない。東京はそういう理解のある人が多くて素晴らしい。文化は土壌が創るもんだからね。
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>なんと観客が自分1人!俗に言うところのマイシアターですよ。
なんともったいない。
大阪では、10年ほど前十三でアンゲロプロス祭りをやっていたとき、結局半分ほどしか行けなかったのですが、毎回ほぼ満員。エンドクレジットの最中に席を立つ人はいても一人か二人。そして、毎回必ず、終わって明かりがつくや、最前列のど真ん中に座っていた人がすっ、と立ち上がると。「パン・・・パン・・・パン・・・」と一人拍手をしだす。2回目に見たときは「あれ?あの人また来てる!」と思うくらいだが、さすがに3回目には「この人いつも来てるんか?」と、すこしコワくなりました。しかしまあ、アンゲロプロス監督の映画だし・・・と納得する自分も少しコワかったりする。